「本」と「まち」の、ものがたり
しずけさとユーモアを
はしワたし〜千住の日常〜 #001

この場所では、皆さんにお聞かせしたい、千住のささやかな日常についてをご紹介します。

「はしワたし」は、東京の端っこの私、橋のかかるこのまちのイメージ、千住の過去から未来への、そして、このまちとあなたとの間とのを橋渡しの意味を込めて名付けています。 真ん中の「ワ」は、和かもしれないし、輪かもしれないし、話かも、WA!かもしれない。

受け取ってくださった方の分だけ解釈があっていいように、中心の表記をずらしました。

センジュ出版が位置する(そして私が住んでもいる)このまちの、気取らない日常を、どうぞお楽しみに。


新しい印刷屋のカタチ
「まちとつながる開かれた印刷」
〜東京巧版社のリニューアルオープン〜

千住は人を迎えるまち。かつて宿場町が栄え、行き交う旅人をまち全体で迎え入れた歴史は現代にもその文脈が続き、人を迎え入れることが好きな商人が少なくありません。

「はしワたし」第1回の今回は、千住旭町で創業から60年以上の印刷会社「東京巧版社」さんの、ある日の日常をご紹介。

2020年9月に、広くまちに開かれた印刷屋となるべく1階部分をリニューアルしたということで、どんな変化、どんな挑戦を始めたのか、専務の村井雄大さんにお話を伺いました。


閉鎖的と言われた印刷会社を「開かれた場所」に

当社は小部数でも対応可能なオンデマンド印刷を得意とする印刷屋です。チラシ、カタログのような紙もの以外にも、Tシャツやキャップなどグッズやユニフォームなどへの印刷も数多く手掛けています。

創業から3代目に当たる自分がこの家業に就いたのは、今からおよそ約10年前。経験を重ねていくうちに、地元「千住」というまちに、お客様や仲間とのコミュニティがさまざまな形で増えているのを実感していました。そのうち、ここ数年は、友達の店や先輩後輩の紹介、千住の企業や飲食店といった、地元の方からの繋がりで仕事をいただく機会も増えました。しかし、個人的にずっと感じていたことがあります。

「印刷屋は閉鎖的だ」ということです。

知り合いにも、自分の会社がどんなことができるのか知られていない。わかりづらい。 「印刷屋って、何が出来るの?」「そもそも、ここ印刷屋だったんだ」「印刷の仕事って一般人は相手にしてくれないんでしょ?」との声もありました。

弊社は駅前にあり、人通りも多い場所に位置しています。なのに4階建ての自社ビルは一部倉庫のようにもなってしまっていて、十分にその価値を活かせていなかった。

何かまちのために活用することができないかと思いを巡らせるようになったのが、今回のリニューアルのきっかけです。


新型コロナで大幅なレイアウト変更に

考えるうちに、自社ビルの3、4階部分をシェアオフィスやコワーキングスペースとして貸し出そうと思いつき、動き出しました。

2019年の秋に妻の知人を通じて地元の建築家の方と出会い、打ち合わせを重ねたのですが、プランやレイアウトなどを数か月に渡って決め込んでいく中で新型コロナの影響が出始め、当初の計画は断念せざるを得なくなってしまいました。ならば今できることをと、閉鎖的だった1階の店舗をオープンな空間に変え、ご来社いただくお客様に、サンプル品や新しいご提案も含めた商品を展示するショールームを併設する印刷屋として、リノベーションすることに。

入りやすく相談しやすい間口とレイアウト。その思いをデザインに組み込んでいただき、今年の6月に受けたプレゼンで、最終的な間取りが決まっていきました。8月から着工、予算を抑える意図もあり、店内ディスプレイ用の木箱什器、塗装、設計は妻が担当、組立は、大型のものを元内装職人でもある地元の後輩に手伝ってもらいながらも、ほとんど自分が担当していますね。

こうして構想からおよそ1年近くかかった9月23日にリニューアルオープンに至り、レセプションパーティには仲間の同業社含め、数多くの地元企業の方々が駆けつけてくださいました。


地元企業とのコラボやポップアップストアとしても

この場所は、訪れた人たちにとって仲間や知り合いが集えるような「開かれた印刷屋」であることをイメージしています。なので、店内のスペースをゆったりと取り、印刷サンプルだけでなく、プリント加工前のものやオリジナルのTシャツを販売したり、さらには同業の仲間の製品を展示したりということもイメージしています。

さらには、地元の会社や店舗の方々とタッグを組んでワークショップを開催したり、ポップアップストアをオープンしたりと、「印刷でまちがつながる」ことを目指していくつもりです。

お近くにお越しの際は、どうぞゆっくりと、お立ち寄りください。


お客様からの注文を受け期待以上のサービスや品質を提供し続けてきた東京巧版社さんの今回のリニューアルは、このまちの未来に大して自らが問いを立てられた結果生まれた、一つのカタチです。

印刷物とは、手で触れ、手で渡されていくところに、人と人とを結ぶ仕掛けがあるように思います。1階スペースにそうした人々が集まるこれからの日常を思い描いた専務、村井雄大さんにぜひ会いに行ってみてください。音楽やファッション、観葉植物の話でも盛り上がるかもしれません。

センジュ出版も、トートバッグ、Tシャツ、エプロン、キャップなどなど、オリジナルグッズを多数制作いただいていますので、近々このスペースでポップアップショップイベントなど開催する予定。今から楽しみでなりません。

株式会社 東京巧版社
株式会社 東京巧版社
東京都足立区千住旭町2−8
TEL 03-3881-4173