「本」と「まち」の、ものがたり
しずけさとユーモアを
私の家の、小さな小さなベランダ本屋

books, plants, dialogue

センジュ出版設立時に描いた[はたらく]と[くらす]を近づける、をこの半年、意図せずながらも、具体的に進めてきた。

結果、どうなったかというと、[はたらく]は、会社設立前からの「本」と、会社設立後の「対話」が、そして[くらす]は、「植物」の存在が、思いがけずそれぞれ色濃くなってきた。

自宅には今、階段、居間、寝室、お手洗いにそれぞれ本棚がある。この数ヶ月で自宅にお客様を迎えて仕事するようになったことでそれぞれの場所にグリーンやスワッグが広がり、加えて浴室にもグリーン、そしてベランダハーブ菜園まで、そこかしこに植物が置かれ始めた。私にとってなくてはならないもの、それはとにもかくにも、もちろん本だ。


2019年末。

千住のデリコッペさん2階を間借りすることになったブックスナックオープン準備の際、ひとまず事務所の本棚から本を数十冊引き抜いて間借り先まで運んだ後、ある感情に襲われた。スカスカの本棚を見て、まるで背骨を抜かれ立ち上がれないような、体から力が抜けていくような、そんな虚無感が広がったのだ。

そこで初めて、読んだ本からも読んでない本からも、そこに黙っていてくれるだけで自分が本によってどれだけ支えられてきたのかを、痛感することになった。

本は私にとって、寡黙な守り神のような存在。しかし、その存在に、同じような立場でいてくれる新たな仲間を知った気がした。それが「植物」だった。

考えてみれば、本は紙、紙は木で、植物だ。


遡ること10年前。

2011年にこの家をセルフリノベーションした時、それまで行ったこともないのに、なぜか頭にずっと浮かんでいたのは、イギリス片田舎の庭の映像。花が咲き誇り、ハーブが香り、風が渡る。そんな景色。

リノベーションを進めるにあたり、タイル、ステンドグラス、ドアノブなど、池尻の「グローブ」をはじめ、イギリスアンティークを扱う都内店舗に何度も通い、パーツを集めて行った。イギリスのそれと知らずに選んで、会計時にそれがその国のものだと伝えられたこともあった。

そんなことをすっかり忘れ、人を招く時以外は花を生けることをせず、枯らし続けるので植物が少しずつ姿を消していった時期を経ての、コロナ禍。自宅で過ごす時間が増え、片付けと掃除とが習慣になり、すると仕事の打ち合わせを時々自宅で行えるようになった。お客様を迎えるために用意する花やグリーンを揃え始めると、思い出したのは、あの庭の景色。

本と植物に囲まれて今ようやく、自分にとっての[はたらく]と[くらす]がすっかり近づいたことに気づいた。となると、センジュ出版は、あのどこからともなく浮かんでいた庭の映像から始まっていたのかもしれない。

10年前のあの景色の中で、[くらす]だけでなく、[はたらく]ことにもなるとは。いや、ひょっとすると、小学校の卒業アルバムに将来の夢として「お花屋さんになりたい」と書いたあの日から、センジュ出版が動き始めていたとしたら。なんだか愉快。


これからのセンジュ出版は、books, plants, dialogueの中で、しずけさとユーモアを大切にしていきます。

そして、昨年まで1年間、ブックスナックで販売していた本。5月以降、私の家の小さな小さな「ベランダ」でマイクロすぎる本屋さんを始めることにします。

これはプレプレオープン。いつか、庭つきの建物で本屋さんをオープンするための序章です。ベランダ本屋さんにあるものは、本と植物。完全予約制でオープンしますが、当面はzoomなどオンラインで。 こちらはアクションカメラでベランダの様子を映し出しますので、植物も並ぶベランダ本棚の本から、気になる1冊をお選びください。 こちらから発送いたします。

また、本を選んでいただいた後はそのまま、お互いお茶でも飲みながら、オンライン対話を。お選びいただいた本のこと、あなたご自身についてなど、どんなことでも、ゆっくりお話伺います。そのうち、本に合わせたハーブティやハーブソープ、ハーブキャンドルなども販売する予定。文章てらこや、読書てらこやも、今後はサービスに植物を織り交ぜ、ブラッシュアップしていくことに。このことを本当の意味で言語化できるのはもっと先になるでしょうが、なんだかとても自分らしくて楽しみ。

ベランダ本屋さん、どうぞよろしくお願いいたします。